オーナー通信

2007年5月オーナー通信
5月15日発行
管理を委託いただいているオーナー様へ発行しているオーナー通信のバックナンバーです。 法令等については当時の情報となっています。


ユニオン・メディエイト 賃貸事業部からのお知らせ

拝 啓

新緑の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、当社では毎月、定期報告書に添えて本紙をお送りし、賃貸管理にまつわるさまざまなニュースをお伝えしたり、新たな提案をさせていただいたりしております。
今月は「更新料」をめぐる最近の裁判事例と、今後の動向について、報告させていただきます。
お忙しい中恐縮ですが、ご高覧いただければ幸いです。

 

「更新料」について

「賃貸借契約を更新する際、賃借人からもらっている『更新料』が受け取れなくなる日がやってくる」という話をよく耳にするようになってきました。

平成16年に原状回復工事費の負担区分について東京都が「東京ルール」と呼ばれている条例を制定した際、同時期に「礼金と更新料も廃止すべきである」との議論がなされ、こちらの条例化は見送られましたが、東京都住宅局では「礼金と更新料は、戦後の住宅難を背景に始まった古い商慣習であり、借り手の負担が大きい」「国際的にもまれな習慣であり、とりわけ外国人には評判が悪く、支払いを拒むケースも少なくない。国際都市東京では、時代に合わない商慣習は改めるのが望ましい。市場の活性化にもつながる」という見解を当時示しておりました。

その後、この議論はあまり表面化してこなかったのですが、去る4月13日、京都で更新料をめぐる次のような訴訟がありました。以下、産経新聞のネット配信記事をご紹介します。

『マンション賃貸契約「更新料は違法」提訴 京都の会社員、元家主に返還求め』

マンションの賃貸契約を更新する際に更新料を課すのは消費者契約法に違反し無効だとして、京都市北区の男性会社員(52)が元家主の男性を相手取り、更新料など計61万5000円の返還を求める訴訟を13日、京都簡裁に起こした。男性の弁護団によると、消契法に基づいてマンション賃貸契約の更新料返還を求める訴訟は全国初めてという。

訴状によると、男性は平成12年8月から月額家賃4万5000円で賃貸契約を結び、京都市左京区のマンションに入居。契約には1年ごとに更新料10万円を支払う条項も含まれており、男性は18年11月に転居するまで、5回にわたり計50万円の更新料を支払った。

原告側は「更新料は賃貸人が地位や情報力、交渉力の格差を利用し、賃借人に一方的に押しつけてきた慣行で、更新料支払い条項には合理性がない」と主張。その上で「この条項は消費者の利益を一方的に害しており、消契法第10条により無効」として返還を求めている。

原告の男性はマンションの部屋ごとに更新料の金額が違うことを知り、家主に対し18年分の更新料の支払いを拒否。今年2月に京都弁護士会が開設した「更新料110番」に電話相談をして、今回の訴訟を起こしたという。

関係者によると、更新料は1~2年ごとの賃貸契約更新の都度、家賃の半月分から2月分を支払うもので、京都市周辺や東京を中心とした首都圏などだけで、慣例的に行われている。

このケースは、家賃が月額45,000円であるにもかかわらず、1年ごとに10万円もの更新料をとっていたことから、いささか賃貸人が“儲け過ぎ”であると思われるため、賃借人有利の判決が出やすいかもしれません。京都弁護士会があえてこれを「全国で初めて消費者契約法に基づいて更新料の返還を求めた」ケースとしたことに、深い意図がありそうです。すなわち、誰が見ても賃借人に有利な判決を出すべきだと思われるケースで最初の訴訟を行い、勝訴する、そうするとこのケースが判例となるので次に別の訴訟を起こしても勝訴しやすくなる、これを数度繰り返し、最終的に「更新料は無効」であると世間に認識させ、「更新料をもらってはいけない」とする条例制定を目指す・・・というシナリオを描いているようにも考えられるのです。

 

 

余談ですが、関西で商習慣となっている「敷引金」をめぐる訴訟の判決文の中でも、更新料について次のような見解が平成17年、18年と相次いで示されています。

・「借主のみが更新料を負担しなければならない正当な理由を見出すことはできない」(平成17年7月14日 神戸地裁)

・「契約締結時に借主が一律に更新料の支払いを強いられる合理的な理由はない」(平成18年11月8日 京都地裁)

 

このように更新料に関連する判決については、オーナー様にとって不利な結果が示されてきております。

国の住宅政策的なところでは、たとえば公団の賃貸住宅は、すでに「礼金ゼロ、更新料ゼロ」となっており、それを理由に公団を選ぶ入居者が多いという現実もあり、情勢はだんだん厳しくなりつつあります。

今回の訴訟については今後も注視してまいり、逐次ご報告しようと思いますが、もし「更新料を課すのは無効」との判決が下された場合の対処についても、検討を始める必要はありそうです。

私は財団法人日本賃貸住宅管理協会の業務研究部会に参加しており、毎月1回のペースで情報・意見交換を行っていますが、更新料についての議論も提起し、今後の対策をじっくり考えていきたいと思っております。

この件で、ご意見・ご質問等ございましたら、気軽にお寄せください。当社からも時機を見て、オーナー様を対象にしたアンケートを実施させていただきたいと考えております。


今回は以上です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

敬 具

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