オーナー通信

2009年12月オーナー通信
12月16日発行
管理を委託いただいているオーナー様へ発行しているオーナー通信のバックナンバーです。 法令等については当時の情報となっています。

寒気厳しき折から、いかがお過ごしでしょうか。
私たち賃貸事業部では、すでに年明けの稼動期並みの入居申込みを獲得でき、大変忙しく過ごさせていただいております。

さて、当社では「賃貸管理にまつわるホットなニュースをお伝えすること」「新しい商品やアイディアをご提案すること」を目的に、毎月、定期報告書に添えて本紙をお送りしています。

今回は、更新料訴訟のその後の動きについて、ご報告させていただきます。

お忙しい中とは存じますが、ご高覧いただければ幸いです。


 

更新料訴訟・その後の動き

10月29日 大阪高裁の判決

 去る10月29日、大阪高裁は更新料返還請求を求めた会社員の控訴を棄却する判決を言い渡しました。

この会社員は2年で2ヵ月分と定められていた更新料(既払い)を返還するよう求めて提訴し、今年3月27日、大津地裁で敗訴しておりました。その控訴審であったのですが、一審に引き続き「更新料有効」との判決が出されました。

8月27日に別の更新料返還要求訴訟で、大阪高裁は「更新料無効」の判決を出し、続いて別件9月25日に京都地裁で「更新料無効」の判決が出、貸主側にとっては苦しい流れになっていました。

今回、まったく別の判断が下されたことで、結局、更新料については一律に有効でも無効でもなく、案件ごとに異なるということで落ち着きそうな気配です。

 

《更新料訴訟一覧》
出展:全国賃貸住宅新聞2009.11.16号より

大阪高裁の判決を受け、敗訴した側はそれぞれ上告する意思を表明しているため、結果は最高裁まで持ち越されることとなりそうです。いましばらく注視する必要があります。

 

当社への問合せ状況

 当社へも入居者様から「更新料を支払う必要がないのではないでしょうか?」ですとか、「消費者センターに問合せをしてから支払うかどうか決めます」ですとかいう類の質問や連絡が3件寄せられました。

その都度担当者より、いまのところ判決が分かれていることをご説明し、「最高裁の結果を見ないと絶対ということは言えませんが、2年契約で更新料0.5~1ヵ月という内容であれば“無効”ということにはならない可能性が高いでしょう」と申し上げ、ご了承いただいていまいりました。

また、その後の調べで、もし更新料支払いの是非について期間満了日までに決着せず、「法定更新」となってしまった場合でも、「更新料を支払わなくてもよい」ということにはならないということがわかりました(法定更新後、更新料支払いの是非について過去3件訴訟が提起されており、うち2件は法定更新の場合でも更新料を支払うべし、という判決が出されています)。

あるケースではそのことまで申し上げ、更新料をきちんと支払って更新契約を締結いただくことを納得していただいたものもありました。

 

集団訴訟の可能性も!?

 ところで、先日、ある著名な不動産コンサルタントの方が気になる話をされておりました。

その方いわく、「今後、借主たちをとりまとめ、大手の不動産会社(主に自ら貸主となっていたり、サブリースをしている会社)を相手取り、集団訴訟をしようと企む者たちが出現してくる可能性がある」とのことでした。

一人ひとりの入居者様(借主)が、個々で更新料返還請求訴訟を起こすのは大変だけれど、集団訴訟という手法をとればその手間も相当軽減されるので、話に乗る方も少なくなかろう。更新料は借主勝訴となれば消費者契約法施行後に遡って取り戻すことができるので、大手の不動産会社が相手であれば、1件1件積み重ねてゆけば莫大な金額になり、その10%を手数料としてもらえればビッグビジネスになるから、弁護士と組んで取り組もうという人間もいるのではないだろうか。そう言うのです。

もし10月29日の大阪高裁判決後の上告審で「更新料無効」との判決が下されるようであれば、この説も現実味を帯びてきます。

訴訟だけでなく、周辺の動きについても注意をしていかなければならないようです。

 

「実質賃料表示制度」創設の動き

 これら一連の動きを受けて、当社も加盟している財団法人日本賃貸住宅管理協会(略称:日管協)では「実質賃料表示制度」の創設に向けて準備を進めています。

「実質賃料表示制度」とは、入居募集時に「賃料」、「共益費(管理費)」、「敷金(保証金)」、「償却費」、「礼金」、「更新料」等、賃貸にかかる費用の総額を表示することで、入居者様(借主)の負担を明確にしようという制度です。

たとえば同じ物件であっても「敷金2ヵ月・礼金2ヵ月・更新料1ヵ月」の場合の賃料設定と、「敷金1ヵ月・礼金1ヵ月・更新料なし」の賃料設定を分けるケースなどがあります。敷金等を少なくするときは、その分賃料にオンさせるわけですが、そうしたことが入居者様(借主)の側から見れば、とてもわかりづらいとも言えるのです。

そこで日管協では4年間賃借したとすると、入居者様(借主)の支払い総額がいくらになるのか、ということを入居募集時に明確にし、比較検討しやすくしてさしあげよう、と考えているのです。

現在、日管協では年内に詳細発表すべく準備を進めています。
しかし、これは地域ごとに異なる商習慣(たとえば関西の敷引きなど)を改めるわけではないことから、京都敷金・保証金弁護団が制度創設の中止を申し入れてきているとのことで、こちらも予断を許しません。

 

当社の構え

 当社では本紙9月号にてご案内した「定期借家契約の積極導入」案を採用するのが、現段階では最有力となっています。ただ、入居者募集への影響や、契約業務・更新契約業務の膨大化など、課題も決して少なくないため、まだ踏み切れずにおります。

年明けの稼動期に導入すると、大きな混乱を来たす可能性が高いことから、準備を着実に進めつつ、訴訟の流れ、日管協の新制度の内容等を確認し、オーナー様にもっとも迷惑のかからない方法をとりたいと思っております。

この件については、当然ですが独断で事を進める考えはございませんので、オーナー様とも意見交換をさせていただければ誠に幸いです。お忙しい中とは存じますが、ご助力賜りますよう、お願い申し上げます。

 

◇追記◇
本原稿は11月23日に書き上げていたのですが、その後11月30日に、更新料返還を求め、元借主と借主20人が京都地裁に集団提訴した、というニュースが入ってきました。

本紙で紹介しました集団訴訟の怖れが、早速表面化したわけです。

訴えた相手は“それぞれの”貸主であった点が異なりますが、これに続く動きが出てくる可能性も大いにあります。

あらためて注視する必要があろうかと思われます。

 


今回は以上とさせていただきます。
年の瀬も迫り、お忙しい毎日が続いておられるかと思いますが、どうぞご自愛専一のこと、お願い申し上げます。

 

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