オーナー通信

2011年9月オーナー通信
9月20日発行
管理を委託いただいているオーナー様へ発行しているオーナー通信のバックナンバーです。 法令等については当時の情報となっています。

豪雨に見舞われたあと、急に涼しくなることを繰り返した今年の晩夏、オーナー様はいかがお過ごしでしょうか? 私たち賃貸事業部は第二の稼動期と言われている9月、懸命に追い込みにかかっています。

さて、当社では「賃貸管理にまつわるホットなニュースをお伝えすること」「新しい商品やアイディアをご提案すること」を目的に、毎月、定期報告書に添えて本紙をお送りしています。

今回は8月16日に国土交通省から発表された原状回復ガイドライン再改訂版についてご案内申し上げます。

お忙しい折、恐縮ですが、よろしくご高覧願います。


 

原状回復ガイドライン再改訂版

◇ 改訂のポイント

去る8月16日、国土交通省より「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」再改訂版が発表されました。
〔再改訂版〕
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun.pdf

再改訂のポイントは次の3つです。

1)トラブルの未然防止に関する事項について、下記内容の別表等が追加されました。

①賃貸住宅標準契約書との連動を意識した原状回復条件様式の追加
原状回復の条件(賃貸人・賃借人の負担区分、賃借人の負担範囲、原状回復工事目安単価等)に関するひな型の様式が追加されました。

②原状回復費用精算書様式の追加
原状回復工事費を請求する際に、修繕内容とその工事単価、負担区分を明示する精算書のひな型が追加されました。

③特約について
最高裁判例やQ&Aが追加され、特約の有効性あるいは無効性の明確化が図られました。

2)税法改正による残存価値割合(10%→1円)の変更
ガイドラインにおいて、経過年数による減価割合については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を参考にするとされており、償却期間経過後の賃借人の負担が10%となるよう定められていました。
しかし、平成19年の税制改正に伴い、当該省令も改正されて、残存価値が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価が1円まで償却できるようになりました。
これにより、ガイドラインにおける残存価値割合も10%から1円に変更されました。

3)Q&A、裁判事例の追加
ハウスクリーニング特約の有効性についてなど、具体的な事項のQ&Aが追加され、また前回ガイドライン改訂後に出された21の判例が追加されました。

 

◇ 改訂を受けて当社の対応

当社では、これまで東京都が定めている「賃貸住宅紛争防止条例」に基づく説明書を作成し、東京都以外の物件についても同様の書類を契約締結時に渡し、署名押印していただいてきました。

ここには負担区分や負担割合のほか、工事単価も明記してきましたので、改訂ポイント1)の①、②に近いことはすでに行っていたことになります。

そのため、残存価値10%としていた負担割合表を1円に改めれば、大きな変更はしなくても大丈夫なようですが、ハウスクリーニングの特約などを、判例やQ&Aに基づいて、さらに詳しく具体的に記載することで、確実に賃借人様負担とできるようにしたいと考えております。

なお、今回一番大きな改訂ポイントであった残存価値の変更(10%→1円)については、過去に「紛争防止条例」に基づく説明書で10%と記載されたものに署名押印いただいていたとしても、税制改正に伴う措置であるため、改訂後のガイドラインが優先されるようです。

その考えの根拠としましては、すでに減価償却の点でオーナー様は改正のメリットを享受できているのだから、自身の税務申告の際は1円とし、賃借人には10%を主張するのは理に適わないと判断されるだろう、ということのようです。

ただ、6年以上入居していれば、何をしてもよい(故意に傷つけてもよい)と賃借人が判断するようになると、オーナー様としては非常に困ってしまいます。こうしたトラブルを防ぐべく、ガイドラインには次のような文章が加わりました。

 

〔ガイドライン12ページより抜粋〕

なお、経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものである。

これをもとに、故意・過失によるものについては、賃借人様の負担とする特約等を作成したいと考えております。

 

◇ 敷引き制度の活用

さて、少し話が変わりますが、オーナー様は「敷引き」という制度をご存知でいらっしゃいますでしょうか?

「敷引き」とは、契約時、賃借人様から預かる敷金のうち、全部または一部を償却し、解約時に返金しないという制度で、関西地方で慣習となっています。

この償却した敷金を、オーナー様は原状回復工事費に充てます。敷引きする代わりに、賃借人様には故意・過失がない限り原状回復工事費は請求しないと約束し、入居いただきます(※敷引きしたうえに原状回復工事費を別途負担いただくというやり方もあります)。
事前に紛争の種を取り除いてしまおうというこの制度ですが、今年に入って、この敷引きが消費者契約法10条に照らして不適であるとした訴訟が2件、最高裁まで争われ、「敷引き有効」との判決が出されました。

こうした情勢をもとに、敷引き制度を導入しようという考え方が関東エリアでも広まりつつあります。

経過年数等も一切関係なく、敷引き金分は賃借人様負担となりますから、原状回復のガイドラインとは一見矛盾する考え方ですが、最高裁でも有効と認められた制度ですので、活用してみるというのもひとつの方法だと思います。

こちらについても当社で十分検証し、導入可能と判断できましたら、個別に提案させていただきます。

 

◇新スタッフご紹介(8月3日入社)

賃貸業務課(住居班) 東山剛士

はじめまして。東山と申します。頑固な性格ですが、こだわりがあると思っています。皆様から信頼していただけるよう精一杯努めていきたいと思います。

東山は住居物件の解約精算と原状回復工事のほか、オーナー様からの依頼に基づく売買仲介業務を担当いたします。どうぞよろしくお願いします。

 


今号は以上とさせていただきます。
日ごとに気温差が激しく、体調を崩しやすい時期だと思いますので、どうぞご自愛くださいますよう、スタッフ一同お祈り申し上げます。

 

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