オーナー通信

2017年9月オーナー通信
9月10日発行
管理を委託いただいているオーナー様へ発行しているオーナー通信のバックナンバーです。 法令等については当時の情報となっています。

7 月、8 月は賃貸物件の問い合わせ数が比較的少ない時期ですが、
例年 9 月、10 月は問い合わせ数が増えてくる月です。7 月になる前に空室を決めきることができず、夏の間を空室のままで過ごしてしまった部屋もあります。
スタッフ一同、秋のシーズンに何が何でも空室を埋めようと、着々とリーシングの準備を進めております。
今月号では、前月に続き「原状回復の費用負担について」、「フクロウカフェ入居審査」をご紹介させていただきます。
今回もオーナー通信をご高覧いただければ幸いです。

原状回復裁判例、フクロウカフェテナント入居審査

◇ 賃貸事業部 マネージャー:三浦 英樹
【原状回復負担割合判例】
前月号で賃貸住宅原状回復のガイドラインをご紹介させていただきましたが、今回は実際にトラブルとなり、裁判となった事例をご紹介させていただきます。

[事例]
退去時に各部屋にカビが発生していたことに対し、貸主は賃借人の手入れ不足が原因でカビが発生したのであるから、クロスの貼り換え費用は全額賃借人負担と考え敷金から全額を控除し敷金の残額を返金した。
それに対し、賃借人が不服を訴え裁判を起こしました。
平成 19 年 5 月 29 日(川口簡易裁判所、入居期間約18 年、敷金13万8,000 円、返還11万1,330 円、)
※裁判ではカビ以外の争点もありましたが、今回はカビに関連する部分のみについて紹介させていただきます。

[判決]
各部屋のカビは、賃借人の部屋の管理及びカビが発生した後の手入れに問題があった結果でもある。しかし、経過年数を考慮すると、クロスについて賃借人の負担すべき原状回復費はないとするのが相当である。

■判決の趣旨
国土交通省、東京都の原状回復ガイドラインでは、賃借人の故意・過失の場合、通常の使用に反する場合、カビが発生した後の賃借人のメンテナンスが不十分であった場合には、クロスの貼り換え費用は賃借人負担としています。しかし、その場合でも、経過年数を考慮し(クロス耐用年数は 6 年)、賃借人負担を算定する必要があるとしています。

今回の事例では、入居年数 18 年がクロス耐用年数を大幅に超過していることを重視し、賃借人にメンテナンスの過失があったことを認めたにもかかわらず、賃借人に負担はないとしました。
ガイドラインでは、年数が経過することにより発生する自然損耗は、賃借人が支払う家賃にその対価が含まれていると考えますが、裁判所がその考えを重視した事例と考えられます。一方、オフィスビルの賃貸借では、「通常の使用による損耗、汚損をも除去し、賃借当時の状態に原状回復して返還する義務があるというべきである」(平成 12 年 12 月 27 日、東京高等裁判所)という判決がでています(ただし、オフィスビルでも自然損耗分については賃料に対価が含まれているという判決もでており、判断が分かれています)。

オーナー様へは厳しい面もありますが、ガイドラインの考え方は改正民法にも明記されることが決まっていますので、原状回復のオーナー負担を見越して賃貸借契約を締結していただく必要があると考えています。

◇ オフィス店舗課 チーフ:長尾 智之
【自己紹介】
オフィス店舗課の長尾 智之(ナガオ トモユキ)です。8月中旬は冷夏でしたが、夏季休暇を少しずらした 8月 25 日から頂戴したことで天候に恵まれた夏休みを過ごさせていただきました。まだまだ暑い日が続き
ますが、しっかりと水分を取りながらフットワークを生かし、営業に邁進させていただきます。

【特殊な業種からのお申込】
オフィス店舗課は、多種多様な企業経営者や個人事業主の皆様と毎日のように出会いがあり、学びと刺激の連続です。ただ、経営者様のお話に感銘を受けるばかりではなく、物件にお申込みを頂戴した際には、重要な入居審査があります。物件を内覧中のお客様の言動を注意深く観察し、それとなく審査に関連する質疑を行いながら、物件をご案内するよう心がけております。
なかでもフクロウカフェ開業のためにお申込みを頂戴した時は、入居審査に大変苦慮しました。今回はその事例をご紹介させていただきます。

ご案内中のお客様の言動に問題点はなく、誠実なお人柄でした。直ぐに物件を気に入り、お申込を頂戴できたのですが、用途は「フクロウカフェ」でした。申込内容を検討する社内会議では朗らかなフクロウ談義となりました。しかし、フクロウのことについて誰も知識がなく、「夜行性のため深夜に大きな声で鳴き騒音となるのではないか」、「臭いが問題では」など心配が尽きませんでした。そのため、まずはフクロウについて学ぶことから始めました。

無知な私は、大人しく木に留まり、時々首を左右に「クイッ」と動かすフクロウを思い浮かべていました。しかし、詳しく調べてみると夜通し大きな声で鳴き、自分のテリトリーを主張する『テリトリーコール』と呼ばれる習性を持っていることが判りました。お客様は、バックヤードを設け、飼育場所としても使用するお申込み内容だったため、住居も混在する当該ビルを考慮すると大変大きな問題として頭を抱えました。

弊社としては、お断りすることを視野に入れながら『テリトリーコール』について申込者に質問すると下記回答でした。
① 孵化(フカ)させるところから飼育し、野生的な習性はなく『テリトリーコール』もしません。
② 昼間はお客様の相手をし、フクロウも疲れて夜はずっと寝ます。

事実確認をするために申込者と再度面談の機会を設け、フクロウについて詳しくヒアリングすることに加え、申込者が飼育しているフクロウを実際に見学する事としました。
夕方から夜にかけて訪問させていただくとフクロウは夜行性なのですが、確かに昼間に活動し、夜は寝ていることを確認出来ました。鳴き声は、想像以上に大きな声でしたが、限られたフクロウだけが驚いた時や、お腹が空いた時などの理由で鳴いるようでした。オーナー様に調査報告を行ったうえで万が一に備えた定期借家契約をご提案し、契約締結を進めさせていただくこととなりました。

フクロウカフェは、現在、事業拡大のため移転されましたが、ご入居いただいていた3年間は、騒音はもちろんのこと、臭いやその他の苦情についても一切ありませんでした。
ご入居当時は、当該ビルや近隣のマスコット的なお店として話題にもなり、私の思い出深いテナントの一つとなりました。

今後も慎重さは怠らず、チャレンジ精神を忘れず、オーナー様のお力になれるよう、ご提案させていただければと考えております。

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