オーナー通信

2019年11月オーナー通信
11月10日発行
管理を委託いただいているオーナー様へ発行しているオーナー通信のバックナンバーです。 法令等については当時の情報となっています。

紅葉の美しい季節となりましたが、寒さが日一日と深まってまいります。
今年のインフルエンザは例年よりも 2 ヶ月程早く流行入りしました。スタッフ一同体調管理を徹底し、管理業務に邁進いたします。
本紙では、弊社の取り組みや賃貸業界の動向等を中心に毎月お届けさせていただきます。
ご多忙のところ恐れ入りますが、ご高覧いただけますと幸いでございます。

 

トラブル対応・境界立会い


◇賃貸事業部 マネージャー 

【トラブル対応】

駐車場を含め3,000戸以上の物件を管理しておりますと、例年多種トラブルが発生いたします。本年もいくつかあった印象深いトラブルの内のひとつを記述させていただきます。

 

弊社に新規管理のご相談をいただいていたタイミングに空室募集中だった事務所に他社不動産会社から、オーナー様に直接お申込が入りました。そのため、弊社管理受託の話は、なくなるものと考えておりましたが、オーナー様から初めて取引する不動産会社で不安が強いとのご相談をいただきました。

オーナー様のご意向はテナントとの契約締結日から弊社で管理をお願いしたいとのありがたいお話でございました。

ご契約者の内容を頂戴すると、人材派遣業の事務所としてご契約でした。連帯保証人は会社員の知人でございました。

弊社で賃料集金を行い、3ヶ月程管理を継続していましたが、突然知らない方から電話が入りました。

「物件契約者が詐欺の容疑で逮捕され、拘留された。事業の継続が難しいため、引っ越しを始めている。」とのお話。

すぐ理解できるお話ではないため、物件に直接伺いました。お電話をされてきたと思われる方に室内を案内され、デスク一台と電話機一台のみの状況を確認。ちなみにその電話をされてきた60歳ほどに見える方は、一目で「一般人」ではないことが、判る方でした。

 

詳しく事情をお聞きすると物件契約者とは知人で、今回の新規事業の話を受けて、500万円を投資したが、騙されたとのお話。騙されたことを知って契約者を問い詰めようとしたら、本人が別件の詐欺で逮捕されてしまったとのこと。今までの物件賃料はこの60歳の方が支払っていたとの話で契約者から聞いた事業の話は最初からなく、500万円を詐取することが契約者の目的だったとのこと。

なかなか重い話にどのように決着をつけるか思慮を巡らせました。

解約いただき、退去を進めることは当然なのですが、契約者から解約届が提出されていないことが問題と考えました。

60歳の方がおっしゃっていることの事実確認に時間を要すること及び事実本当に拘留されていたとして、相手が相手だけに「オーナー様に100%リスクなく」、退去を早期に進めるためには、解約届の取得を必須と考えました。スピード処理を前提に契約の当事者でもある連帯保証人から解約届を提出いただくため、自宅に電話しましたがお話しできません。連帯保証人は今時珍しく携帯番号がないため、勤務先にお電話しますと該当者はなし。

もしかして60歳の方が連帯保証人を知っている可能性を期待し、お電話すると「知らない」とのこと。

弊社で連帯保証人宅を訪問する段取りをしていたところ、次の日60歳の方から電話をいただき、「連帯保証人を見つけた。これから連れて行く」とのこと。

 

急な展開に驚きながら、連帯保証人とお会いすると首や上半身にコルセットを巻き、歩くのも大変な状態。これにも驚き事情をお聞きすると、車と接触し、最近まで入院していたとのこと。「契約者には大変お世話になった経験があり、やさしく親切な印象しかなく、今回の詐欺事件に驚いている」とのこと。「連帯保証人として契約書にサインし、捺印したことは事実である。借りた事務所の連帯保証人であることも説明を受けて理解していた。信頼していた方だったため、頼まれるままサインをしたが、弁済する資力は無職で全くない」とのこと。連帯保証人の方からは、安易に契約書にサインしたことによってご迷惑をおかけした旨の謝罪を受け、拘留されている契約者に代わり解約届をその場でご提出いただきました。

 

結果的に保証金の範囲内で引っ越しが完了するまでの賃料とクリーニングを行うことができ、オーナー様に実損はございませんでした。

 

連帯保証人は無職でしたが、申込書に記載した勤務先は契約者が虚偽で記載したものです。弊社の入居審査であれば、連帯保証人の確認で虚偽を見抜き、契約締結に至らなかったと考えられます。オーナー様が本件の不動産会社に抱いたご不安は見事当たっており、本件の解決に向けて何度も不動産会社に連絡しましたが、他人事のような無責任な対応でした。

 

本件解決で一番重要人物となる60歳の方は、なぜ連帯保証人を見つけて弊社へ連れてきたのか?

答えは簡単で損害金を連帯保証人に「請求」する考えで自宅に向ったのですが、連帯保証人の様子を見て回収を諦めました。その後は関わった以上ほっとけないとの「任侠道」なのでしょうか。電車で移動することのできない連帯保証人を車で弊社まで連れてこられた経緯です。

今後もあらゆるトラブルに対し、オーナー様のことだけを考えて全力で対応いたします。

 

◇受託売買課 チーフ    

【境界立会い】

 

当社はたくさんのオーナー様から不動産の管理を依頼されているため、オーナー様に代わって土地の境界立会いをさせていただく機会も少なくありません。オーナー様がご自身で土地の測量を手配される場合はもちろんですが、隣接する土地の所有者が測量をされる場合にも境界の立会いは必要になります。

境界の立会いといいましても、過去に測量をした際の測量図や境界の確認書がある場合、もしくは現地に境界標が設置されている場合であればそれほど難しいことにならない事が多いです。

 

しかし、いずれの資料もなく、法務局、役所等に保存されている資料等が全くない場合も少なくありません。そんな場合には測量士の方が過去に遡り、周辺の土地等も含め調査をしたうえで、測量、境界の確定を進めていくことになります。境界を決めるということは財産の境を決めるということになりますので、トラブルになることや、簡単に解決が出来ない場合もなかにはございます。

 

現在は良く知った隣地の方同士だから問題がないと思っていても、いつの間にか所有者が変更になっていたり、世代交代されたことにより、疎遠になってしまったりすることも少なくありませんし、それが原因で昔のことがわからなくなってしまうこともございます。

皆様もご存知の通り、現在では所有者の所在が不明な不動産も多く、国会でも取り上げられているほどですので、いざ立会いをしようとしても、境界の立会い以前に、所有者の特定自体が難しい場合もございます。

 

土地の測量、境界を確定することは、費用も決して安くありませんし、不動産の売却、土地の分筆等、何かのきっかけがない限り依頼をすることも少ないと思います。しかし、昨今上記のような問題も増えてきておりますので、一度ご所有の不動産について、お調べいただくことがよろしいと思います。

 

今は具体的に不動産のご売却等をご検討されていないオーナー様でも、今後いつ売却等をご検討することになるかわかりません。また将来ご子息へ引き継ぐことをご検討されている場合でも、引き継がれた後に問題になってしまう場合もございます。

お時間のある際に、ご所有の不動産について、土地の測量図、境界の確認書が残っているか、現地に境界標が設置されているのか、一度ご確認いただくことをお勧めいたします。

 

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